シャティン (沙田)競馬場の概要
シャティン競馬場 (中国表記:沙田馬場、英語表記:Sha Tin Racecourse)は、九龍半島新界エリアの沙田(シャティン)区にある競馬場です。
香港には2つの競馬場があり、シャティン競馬場はそのうちのひとつです。
この競馬場は、1846年建設のハッピーバレー競馬場(跑馬地競馬場)に代わり、香港競馬の拠点となるべく建設されました。沙田海を埋め立てる大規模な工事のもと、近代的な競馬場が建設されました。
開場されたのは1978年です。歴史ある香港ジョッキークラブの歴史を考えると新しい競馬場ですが、観覧スタンドを2つ備えており、競馬場全体の収容可能人数は10万人を誇ります。競馬が開催されていない時期は、ペンフォード公園(中国表記:彭福公園)として馬場を一般市民に開放しています。
また、2008年に開催された北京オリンピックの馬術競技は、この競馬場に隣接する会場で行われました。オリンピック終了後、厩舎と競技場はそれぞれは国際検疫厩舎と国際厩舎の準備運動用馬場として使用されています。
シャティン競馬場の最大の特徴は水はけの良さです。香港の気候は雨量が多く湿気が多いにも関わらず、毎年9月から7月の約10ヶ月間は、週1回のペースでレースが開催されます。そのため、芝の管理に大変力を注いでおり、世界屈指の水はけの良い競馬場とも言われます。また、天候への配慮はパドックにも見られ、ここには開閉式の屋根が設置されています。
さらに、シャティン競馬場は香港競馬の中心でもあります。香港調教馬は1350頭から1400頭程度いると言われていますが、そのうち約74%がシャティン競馬場にある厩舎に在厩しています。香港には競馬場が2つしかないことから、香港競馬のジョッキーやトレーナーなどの競馬関係者もこの周辺に居住していることが多いようです。
シャティン競馬場 主要レース
- 香港国際競走(12月第2週)
- 香港スプリント
- 香港ヴァーズ
- 香港マイル
- 香港カップ
- センテナリースプリントカップ(1月第3週)
- 香港スチュワーズカップ(1月第3週)
- 香港ゴールドカップ(2月第3週)
- クイーンズシルヴァージュビリーカップ(2月第3週)
- クイーンエリザベス2世カップ(4月第4週)
- チェアマンズスプリントプライズ(4月第4週)
- チャンピオンズマイル(4月第4週)
- 香港チャンピオンズ&チャターカップ(5月第4週)
日本調教馬の出走歴
香港国際競走を始め、これまでに数多くの日本調教馬がシャティン競馬場で戦ってきました。
香港カップを制覇したノームコア(2020年)とウインブライト(2019年)、香港ヴァーズを制覇したグローリーヴェイズ (2019年)、香港マイルを制覇したアドマイヤマーズ(2019年)、香港スプリントを制覇したダノンスマッシュ(2020年)など、日本調教馬はこの競馬場で好成績を残しています。
日本と香港は同じアジア圏で距離も比較的近いため、シャティン競馬場のレース出走は、海外遠征の中でも馬への負担が軽いレースと言えます。この競馬場で最も有名なのは香港国際競走です。香港国際競走は、参戦に必要な費用を主催者である香港ジョッキークラブが負担してくれる招待レースです。費用面でもレースに挑戦しやすい環境でもあるため、近年では毎年のように日本調教馬が香港に遠征しています。
シャティン競馬場 コースの特徴
シャティン競馬場は、楕円形で右回りのコースです。
外側には芝コースが、内側にオールウェザー(AW)コースが設置されています。
芝コースは1周1899mで、各コーナーの曲率は37か38程度(R定規計測)、ゴール直線は430mとなっています。レースは1000mから2400mの距離で開催され、スタート地点は8ヶ所に設置することができます。中でも、2000m以上のレースはゴールポスト手前がスタート地点となり、2400mの香港ヴァーズはゴール直線を2度通過する形となっています。
傾斜は、2コーナー入り口から3コーナーにかけて緩やかな上り坂があり、そのすぐ後の3コーナーを過ぎた辺りからゴールまでは緩やかな下り坂となっています。3コーナーから4コーナーは、コースの外側がやや上がっています。最も高度が高いのは、向こう正面で3コーナーを通過した直線ターンまでの部分です。ここは高低差2mの下り坂になっていますので、このあたりからスピードを上げて、ゴール直線に入ります。
芝は、バミューダグラスにペレニアルライグラスをオーバーシードしています。日本より丈は長めで、足元の感触は札幌に近いと言われています。
スピードとパワーを兼ね備えた日本馬が活躍していることから、シャティン競馬場は力を要する馬場のようです。中山と札幌、次点で、阪神で好走する馬はシャティン競馬場と相性がいいと言われています。
現地の様子
シャティン競馬場 場内エリア
一般入場門は、馬場駅直結の3ヶ所とバス乗り場側の1ヶ所の、計4ヶ所があります。
入場料は10香港ドルで、オクトパスカード(香港内で使用できる交通系ICカード)の利用も可。日本人を含めた外国人旅行者は、ツーリストバッジを購入することもできます。金額は100香港ドル(約1700円)で、パスポートを提示する必要があります。香港ダービーや国際レースの際は料金が変わり、150香港ドル(約2500円)となります。
会員エリア内は、1-2階のコース側に自由席がある他、5階スタンドに有料指定席も用意されています。
以前は持込禁止となっていた携帯電話は、現在は解禁されていますが、マナーモードでの利用が呼びかけられています。また、現地の禁煙条例を受けて禁煙も徹底されています。バルコニーやコース前スタンド地面、馬場駅からの通路など、スタンド外部に露出した部分を除いて全面禁煙となりました。
これに違反した場合は5000香港ドルの罰金刑となるので気を付けましょう。
スタンド
シャティン競馬場の総収容人数は約10万人です。
そのうち、全長400m・収容人数7万人のスタンドは、グランドスタンド1と2で構成されており、それぞれ8階建です。
グランドスタンド1
- クラブ会員エリア
- ザ・ウィング – 5階
- チャンピオンサークル – 3階
- ジョッキークラブボックス – 2階
グランドスタンド2
- ビジターボックス – 6階
- プライベートボックス – 6階
- ジュンウイテン- 6階
- バッソンレストラン – 5階
- メディアホール- 1階
- メッツァワン- 1階
- ファンゾーン – G階
アクセス
シャティン競馬場へのアクセスは、電車が便利です。
競馬場のすぐ近くには来場者が利用する「馬場(Racecourse)駅」があり、この電車を利用すれば九龍半島の繁華街中心部から30分程度で到着します。
このほか、開催当日は香港国際空港を含む香港各地から臨時バスが運行されており、国外からの観光客も来場しやすくなっています。