ブリーダーズカップとは?
ブリーダーズカップ (Breeders’ Cup)
アメリカ合衆国で毎年10月下旬から11月上旬に行われるレースです。
アメリカ競馬のダート中距離路線の1年を締めくくる最高峰の競走で、その年のアメリカのダート最強馬決定戦に位置付けられています。
主に「BC」の2文字で表されることが多いですが、正式名称は「ブリーダーズ・カップ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップ(Breeders’ Cup World Thoroughbred Championships)」です。
ブリーダーズカップは複数のレースで構成され、「ブリーダーズカップ・クラシック(賞金総額500万ドル)」を始めとしたG1レースが、2日間の開催期間中に14レースも行われます。
以下が、ブリーダーズ・カップ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップで組まれているレースです。(2022年の予定)※全てのレース名に「ブリーダーズカップ」と冠されます。
- 1日目
- ジュべナイルターフスプリント(G1レース・芝5.5f )2歳ー賞金100万ドル
- ジュべナイルフィリーズ(G1レース・ダート8.5f)2歳牝馬ー賞金200万ドル
- ジュべナイルフィリーズターフ(G1レース・芝8f)2歳牝馬ー賞金100万ドル
- ジュべナイル(G1レース・ダート8.5f)2歳牡馬せん馬ー賞金200万ドル
- ジュべナイルターフ(G1レース・芝8f)2歳牡馬せん馬ー賞金100万ドル
- 2日目
- フィリー&メアスプリント(G1レース・ダート7f)3歳以上牝馬ー賞金100万ドル
- ターフスプリント(G1レース・ 芝5.5f)3歳以上ー賞金100万ドル
- ダートマイル(G1レース・ ダート8f)3歳以上ー賞金100万ドル
- フィリー&メアターフ(G1レース・芝9.5f)3歳以上牝馬ー賞金200万ドル
- スプリント(G1レース・ダート6f)3歳以上ー賞金200万ドル
- マイル(G1レース・芝8f)3歳以上ー賞金200万ドル
- ディスタフ(G1レース・ダート9f)3歳以上牝馬ー賞金200万ドル
- ターフ(G1レース・芝12f)3歳以上ー賞金400万ドル
- クラシック(G1レース・ダート10f )3歳以上ー賞金600万ドル
このように、ブリーダーズカップは全ての競走馬の性別、年齢、馬場、距離別にレースを網羅しており、まさにアメリカ競馬の祭典と言えるビックイベントなのです。
世界の競馬主要国の中で、ダート競馬をメインに行っている国はアメリカのみです。つまり、このブリーダーズカップは「世界のダートチャンピオン決定戦」ともいえます。
ブリーダーズカップ その特徴とは?
ブリーダーズカップ最大の特徴は、高額賞金です。
世界各国のG1競走の中でも比較的高額の賞金が、ブリーダーズカップの14レースそれぞれにかけられます。高額賞金を提供できる理由は、種牡馬の所有者が資金を負担しているためです。アメリカ国内で種牡馬を繋養している所有者は、その種付け料1回分の資金を負担します。そうすることで、その資金を出した種牡馬の産駒に出走権が与えられるのです。
一方、このシステムの弊害としてアメリカ国外からの移籍馬が不利になってしまうという点です。なぜなら、上記の条件に当てはまらない馬の出走には追加登録料が求められるため、出走を回避することが多いのです
しかし、2011年にはこのシステムが大幅に変更・緩和されました。
これは主に有力馬の出走を促すことを目的に行われた変更で、内容は以下の通りです。
- 登録に必要な年間登録費の緩和
北半球の種牡馬所有者は種付け料の50%を年間登録料としておさめ、南半球の種牡馬所有者は種付け料の25%を年間登録料としておさめるという内容に変更となりました。また、ヨーロッパと南半球からの馬は産駒登録が不要になります。 - トライアル競走である「ブリーダーズカップ・チャレンジ」の再整備
従来より、トライアル競走で勝った馬は自動的にブリーダーズカップに優先出走権を得られていました。その優先出走権に加え、出走に関わる費用(登録費の免除、輸送費用の一部負担)に関する優遇が新たに設定されました。また、北米での産駒にはボーナスとして1万ドルが支給されます。
この内容変更によって有力馬の出走回避が減り、ブリーダーズカップはさらに盛り上がりを見せています。

ブリーダーズカップにおける日本調教馬の出走歴
2022年の時点で、ブリーダーズカップには全20頭の日本調教馬が出走しています。
ブリーダーズカップ・クラシック
- 1996年 タイキブリザード(牡5)岡部幸雄 13着
- 1997年 タイキブリザード(牡6)岡部幸雄 6着
- 2004年 パーソナルラッシュ(牡3)L.デットーリ 6着
- 2008年 カジノドライヴ(牡3)V.エスピノーザ 12着
- 2010年 エスポワールシチー(牡5)佐藤哲三 10着
ブリーダーズカップ・ターフ
- 2012年 トレイルブレイザー(牡5)武豊 4着
ブリーダーズカップ・スプリント
- 2000年 アグネスワールド(牡5)武豊 8着
- 2019年 マテラスカイ(牡5)武豊 8着
- 2020年 ジャスパープリンス(牡5)J.オルティス 14着
- 2021年 マテラスカイ(牡7)川田将雅 5着
ブリーダーズカップ・マイル
- 2021年 ヴァンドギャルド(牡5)福永祐一 12着
ブリーダーズカップ・ダートマイル
- 2021年 ピンシャン(牡4)川田将雅 7着
- 2021年 ジャスパープリンス(牡6)福永祐一 8着
ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ
- 2000年 マルターズスパーブ(牝3)武豊 13着
- 2010年 レッドディザイア(牝4)K.デザーモ 4着
- 2016年 ヌーヴォレコルト(牝5)武豊 11着
- 2021年 ラヴズオンリーユー(牝5)川田将雅 1着
ブリーダーズカップ・ジュべナイル
- 2019年 フルフラット(牡2)武豊 5着
- 2021年 ジャスパーグレイト(牡2)福永祐一 10着
ブリーダーズカップ・ディスタフ
- 2021年 マルシュロレーヌ(牝5)O.マーフィー 1着
ブリーダーズカップ 歴史と開催競馬場
ブリーダーズカップ創設には、アメリカ競馬への大きな期待が込められていました。
1970年代当時、アメリカでは競馬の人気が下降していました。そんなアメリカ競馬により活気をもたらすことを目的にブリダーズカップは1984年に設立されました。
提案者はケンタッキー州ゲインズウェイ・ファームのジョン・ゲインズ氏で、1日にたくさんのG1レースを行うという趣旨で提案されました。ブリーダーズカップというレース名は、創設当時の優勝賞金がブリーダー(生産者)の資本から拠出されていたことに由来しています。
ブリーダーズカップは、毎年同じ競馬場で開催するというわけではありません。
創設当初は、アメリカ競馬への活気をもたらすために地方部の競馬場でも開催されていました。しかし、2000年以降はチャーチルダウンズ競馬場、ベルモントパーク競馬場、サンタアニタパーク競馬場、キーンランド競馬場、デルマー競馬場の5場で開催されることが多くなっています。
毎年異なる競馬場で開催されるブリーダーズカップは、毎年その会場を回るという楽しみ方もあります。