海外競馬コラム

ラヴズオンリーユー アメリカ競馬・ブリーダーズカップ ブックメーカー

ラヴズオンリーユー 果敢に海外競馬に挑戦した日本の名馬、その軌跡に迫る

    ラヴズオンリーユーのプロフィール

    ラヴズオンリーユー(Loves Only You)は2016年3月26日に安平町で生まれました。馬主はDMMドリームクラブ、生産者はノーザンファームです。栗東の矢作芳人調教師に預けられました。

    通算成績は16戦8勝、うち香港で2戦2勝、アメリカで1戦1勝、アラブ首長国連邦(ドバイ)で1戦0勝です。

    獲得賞金は3億3,874万円、2021年にJRA最優秀4歳以上牝馬を受賞、日本馬として初めてアメリカの第51回エクリプス賞最優秀芝牝馬を受賞し、最優秀芝牝馬の部門賞に選ばれました。

    ラヴズオンリーユーの父はディープインパクト、母はラヴズオンリーミー(母の父:Storm Cat)です。全兄(ラヴズオンリーユーと同じくディープインパクトを父に持ち、ラヴズオンリーミーを母に持つ兄)に2016年ドバイターフ勝利馬のリアルスティールがいます。父ディープインパクトと母父StormCatは黄金配合と言われ、東京優駿・ニエル賞を制したキズナもこの配合です。

    芝の中距離から長距離に適性があり、主に1600mから2400mレ―スに勝利しています。重馬場は得意ではなく、重馬場を走ったのは府中牝馬ステークスのみですが結果は5着に沈みました。古馬となってからは気性面でも馬体面でも充実し、晩成型らしい活躍をしました。

    海外レースでの成績

    ラヴズオンリーユーは、5歳になった2021年に多くの海外レースに遠征しています。

    ドバイシーマクラシック、クイーンエリザベス2世カップ、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ、香港カップに出走し、4戦3勝の成績を残しています。

    ドバイシーマクラシック(ドバイ)

    2020年、ラヴズオンリーユーはメイダン競馬場で開催されるドバイシーマクラシックに予備登録、そして招待されていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によりドバイ国際競争が中止となり、レースをすることなく帰国しました。

    翌年2021年、ラヴズオンリーユーは再びドバイシーマクラシックに挑みました。ドバイシーマクラシックはアラブ首長国連邦にあるメイダン競馬場(ドバイ)で行われる、芝2410mのG1レースです。ドバイ国際競走のひとつで、日本調教馬としてはステイゴールド、ハーツクライ、ジェンティルドンナが制覇しているレースです。

    鞍上はラヴズオンリーユーに初騎乗のO.マーフィー騎手で、斤量は55.5kg。2021年3月27日に開催された第23回ドバイシーマクラシックにはラヴズオンリーユーの他、クロノジェネシスも出走しました。バークシャーロッコが出走を取り消したため、9頭立てのレースとなり、フランスダービー馬ミシェリフ、パリ大賞典を制したモーグルなどが名を連ねました。

    一度は抜け出すも、クロノジェネシスとミシェリフから追い上げられ、ラヴズオンリーユーはこの2頭に先を越されてしまいます。結果はクロノジェネシスからクビ差の3着でした。

    クイーンエリザベス2世カップ(香港)

    ドバイシーマクラシックを終えた後、ラヴズオンリーユーは日本に帰国せず、アラブ首長国連邦から香港へ移動します。シャティン競馬場で開催されるクイーンエリザベス2世カップに出走。2001年から国際G1に昇格した芝2000mのレースです。

    第47回クイーンエリザベス2世カップは2021年4月25日に開催され、7頭立てのレースになりました。うち4頭は日本調教馬でした。牝馬三冠を達成したデアリングタクト、菊花賞馬キセキ、香港ヴァーズを制したグローリーヴェイズが参戦。G1とG2を1勝ずつしているラヴズオンリーユーは現地オッズで4番人気、JRAオッズで3番人気となりました。

    直線になるとデアリングタクトとの熾烈な争いを繰り広げます。結果は、追走してきたグローリーヴェイズを制し、ラヴズオンリーユーが勝利。この勝利は、オークス以来2年振りのG1勝利でした。2着以降は、グローリーヴェイズが2着、デアリングタクトは3着、そしてキセキが4着に入り、日本馬が1着から4着までを独占する形となりました。

    この勝利は、ラヴズオンリーユーの鞍上を務めた地元騎手のヴィンセント・ホーにとって、日本調教馬に騎乗して初めての勝利となりました。ヴィンセント・ホーは香港ジョッキークラブの騎手養成所の卒業生です。2019年には騎手招待競走であるシャーガーカップに世界選抜として参加、第20回のレースを制覇するほどの実力の持ち主です。

    ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ(アメリカ)

    次は、デルマー競馬場で開催されるG1ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフに挑みました。

    BCF&Mターフとも言われるこのレースは、1999年に創設されました。アメリカでは牝馬にとって最高峰の芝レースで、1年の締めくくりとされます。3歳以上の牝馬のみが出走し、距離は11ハロン(2,213m)です。

    第23回BCF&Mターフは2021年11月6日に開催され、ラヴズオンリーユーの鞍上は川田将雅騎手、斤量は56kg。JRAオッズでは1番人気に選ばれました。G1馬ウォーライクゴッデス、英二冠馬ラブなどが出走し、現地のラヴズオンリーユー人気は、この2頭に続く3番人気でした。

    直線でウォーライクゴッデスと8番人気マイシスターナットが先頭に躍り出ますが、その間からラヴズオンリーユーが鋭く伸び1着入線。これは、日本調教馬・日本人調教師・日本人騎手として初のBCF&Mターフ勝利という日本競馬界でも歴史的なレースとなりました。

    香港カップ(香港)

    2021年12月、ラヴズオンリーユーは引退レースとして香港カップに出走しました。香港カップはシャティン競馬場で開催される芝2000mのG1レースで、香港国際競走のひとつです。このレースでは、日本調教馬がラヴズオンリーユーを含めて8勝しています。

    第35回香港カップは2021年12月12日に開催され、ラヴズオンリーユーの鞍上は前回と同様に川田将雅騎手、斤量は55.5kg。JRAオッズは一番人気でした。

    直線では日本調教馬ヒシイグアスとの競り合いを制し、わずかな差で1着入線。有終の美を飾ったラヴズオンリーユーは帰国します。

    たった1年間という短い時間の中で海外レース3勝を挙げ、日本馬にとって初記録を樹立します。さらにその功績により、日本馬初のエクリプス賞最優秀芝牝馬を受賞しました。

    引退後

    2022年1月30日、東京競馬場にて引退式が行われました。この名牝の姿をひと目見ようと集まったファンは4900人。同年2月2日には競走馬登録抹消となり、生まれ故郷の北海道安平町のノーザンファームで繁殖牝馬となりました。初子はエピファネイアの子で、2023年に誕生予定です。

    馬主であるDMM.comは、ラヴズオンリーユーの子どももDMMドリームクラブ所持馬となることを望んでいるコメントを残しています。

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