ロンシャン競馬場の概要
ロンシャン競馬場はフランスの首都、パリの西部に位置しています。
ブローニュの森の中にあり、エトワール凱旋門から5km先の場所です。バスやメトロの本数が多く交通の便が良く、日曜日や大きなレース開催日には周辺の駅から無料シャトルバスが運行されています。
パリ ロンシャン競馬場には長い歴史があり、始まりは中世にさかのぼります。現在の競馬場は1255年まで「ロンシャン平原」と呼ばれ、ロンシャン王立女子修道院が建っている場所でした。フランス革命により修道院としての役割を終え、その後に破壊されました。1857年になると、フランス馬種改良奨励協会がその地に木造の競馬場を設立しました。記念すべき最初のレース開催日は、1857年4月27日。大勢の観衆の前で行われ、ナポレオン3世と皇妃もセーヌ川に浮かべたヨットからレースを見ていたと言われています。
1862年には初の国際レースであるパリ大賞典が創設されます。当時はイギリスとフランスの一流馬が競うレースでした。1904年に競馬場は石造に建て直され、1920年に凱旋門賞が創設されました。1957年には競馬場100周年を祝い、ムーラン・ド・ロンシャン賞(Prix du Moulin de Longchamp)とアベイ・ド・ロンシャン賞(Prix de l’Abbaye de Longchamp)の2つが創設されました。
2015年には1億4,000ユーロをかけた改修工事が行われました。スタンドやパドックなど多くの施設が新しくなり、それ以降、ロンシャン競馬場は”パリロンシャン競馬場”と改称されています。
ロンシャン競馬場 主要なレース
パリ ロンシャン競馬場では6つのG1レースが有名です。
- 5月
フランス1000ギニー(Poule d’Essai des Pouliches)
フランス2000ギニー(Poule d’Essai des Poulains)
- 7月
パリ大賞典(Grand Prix de Paris) - 9月
ムーラン・ド・ロンシャン賞(Prix du Moulin de Longchamp)
ヴェルメイユ賞(Prix Vermeille) - 10月
凱旋門賞(Prix de l’Arc de Triomphe)
日本調教馬の出走歴
このパリ ロンシャン競馬場では、1969年以降、たくさんの日本調教馬が出走しています。
最初の挑戦は凱旋門賞でした。凱旋門賞に初めて出走した日本調教馬は、1969年のスピードシンボリでした。その後も1999年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、2012年・2013年オルフェーヴルが2着に入線し、凱旋門賞は日本の競馬ファンも見逃せない注目のレースとなっています。
2006年には3冠馬ディープインパクトが凱旋門賞に出走し、日本人ファンが約6,000人ロンシャン競馬場で応援したことが話題になりました。
ムーラン・ド・ロンシャン賞には1986年ギャロップダイナが参戦し10着、1998年シーキングザパールが5着、2003年ローエングリンが2着・テレグノシスが13着という記録を残しています。
アベイ・ド・ロンシャン賞では1999年にアグネスワールドが優勝し、同レースでドージマムテキが13着入線となりました。
凱旋門賞挑戦の前哨戦であるG2フォワ賞(Prix Foy)もパリロンシャン競馬場で開催されます。1999年エルコンドルパサー、2012年オリフェーヴル、2021年ディープボンドが優勝するなど、日本調教馬の活躍が目立つレースです。
その他海外の競馬場 香港の競馬場紹介
>>シャティン競馬場
コースの特徴
パリ ロンシャン競馬場には5つのコースがあり、すべて芝の右回りです。
ヨーロッパの競馬場に特徴的な高低差があり、パリロンシャン競馬場の場合は10mです。それぞれの距離は、大外回りは1周2750m、中回りは2500m、小回りは2150m、直線のみの1000m、第三コーナーから出走する1400mです。
コースの特徴は「フォルスストレート」と呼ばれる偽りの直線。馬が最後の直線と勘違いしやすく、ここでの動きがレースの鍵となります。
もうひとつの特徴として、オープンストレッチも挙げられます。オープンストレッチによって内側のコースにスペースを作ることができます。
現地の様子
春レースの開催は5月です。2022年では5月16日に、フランス1000ギニー、フランス2000ギニーが行われます。7月にはパリ大賞典が行われ、同時にサマーイベントが開かれます。秋のレースの開催は9月です。9月にムーラン・ド・ロンシャン賞、同じく9月にヴェルメイユ賞、そして10月には凱旋門賞が開催されます。
凱旋門賞の日には持込物の制限があり、リュックサック、スポーツバッグ、バイクのヘルメット、ガラス瓶、その他大型の物は禁止されています。訪れる際はご注意ください。
パリロンシャン競馬場には、グランドスタンドに面したレストランがいくつもあります。昼食を取りながら、レースを見ることも可能です。土曜日と日曜日とでは利用できるレストランが異なるため、確認する必要があります。
凱旋門賞などの大きなレースには毎年世界中から数万人が訪れる、フランス競馬を楽しめる場所です。