凱旋門賞 優勝馬の傾向
2021年時点で、日本調教馬の凱旋門賞出走は29頭に及んでいます。それでもなお制覇が叶っていない凱旋門賞(Prix de l’Arc de Triomphe)において、優勝馬にはどのような傾向があるのでしょうか。
ヨーロッパ各地の活躍馬が集まる凱旋門賞において、これまでの優勝馬の国、年齢、性別をまとめました。
国別成績
優勝馬の国は、以下の通りです。
- フランス 68回
- イギリス 15回
- アイルランド 8回
- イタリア 6回
- ドイツ 3回
※第一回から2021年時点
開催国であるフランスが圧倒的勝利数をおさめていますが、2011年以降はフランスが5勝、その他が5勝と戦績が拮抗してきています。
年齢別成績
優勝馬の年齢は、以下の通りです。
- 3歳 60頭
- 4歳 31頭
- 5歳 8頭
- 6歳 0頭
- 7歳 1頭
3歳馬の優勝回数が突出して多くなっていますが、これは斤量に差があることが大きく関係しています。凱旋門賞では、3歳牡馬には56.5kg、4歳以上の牡馬には59.5kgの斤量が定められており、3kgの斤量差があるためこのような結果になっています。
性別成績
優勝馬の年齢は、以下の通りです。
- 牡馬 76勝
- 牝馬 24勝
数だけ見ると牡馬の優勢が目立ちますが、2011年以降は牝馬が7勝、牡馬が4勝と近年は牝馬の活躍が目立ちます。
凱旋門賞における日本調教馬の出走歴
2021年時点で、延べ29頭の日本調教馬が凱旋門賞に出走しています。
以下が歴代出走馬の履歴です。
- 2021年 クロノジェネシス O.マーフィー 6着
- 2021年 ディープボンド M.バルザローナ 14着
- 2020年 ディアドラ J.スペンサー 8着
- 2019年 キセキ C.スミヨン 7着
- 2019年 ブラストワンピース 川田将雅 11着
- 2019年 フィエールマン C.ルメール 12着
- 2018年 クリンチャー 武豊 17着
- 2017年 サトノダイヤモンド C.ルメール 15着
- 2017年 サトノノブレス 川田将雅 16着
- 2016年 マカヒキ C.ルメール 14着
- 2014年 ハープスター 川田将雅 6着
- 2014年 ジャスタウェイ 福永祐一 8着
- 2014年 ゴールドシップ 横山典弘 14着
- 2013年 オルフェーヴル C.スミヨン 2着
- 2013年 キズナ 武豊 4着
- 2012年 オルフェーヴル C.スミヨン 2着
- 2012年 アヴェンティーノ A.クラストゥス 17着
- 2011年 ヒルノダムール 藤田伸二 10着
- 2011年 ナカヤマフェスタ 蛯名正義 11着
- 2010年 ナカヤマフェスタ 蛯名正義 2着
- 2010年 ヴィクトワールピサ 武豊 7着
- 2008年 メイショウサムソン 武豊 10着
- 2006年 ディープインパクト 武豊 失格
- 2004年 タップダンスシチー 佐藤哲三 17着
- 2002年 マンハッタンカフェ 蛯名正義 13着
- 1999年 エルコンドルパサー 蛯名正義 2着
- 1986年 シリウスシンボリ M.フィリッペロン 14着
- 1972年 メジロムサシ 野平祐二 18着
- 1969年 スピードシンボリ 野平祐二 着外
これまで数々の日本調教馬がヨーロッパに遠征し、凱旋門賞に挑戦してきました。しかし、その壁はとても厚く、いまだ凱旋門勝利には至っていません。
武豊騎手は過去に凱旋門賞について「パワーが求められるが、直線で抜け出す瞬発力も必要。ダート馬では厳しい」とコメントを残しています。
凱旋門賞の勝利には、日本の競馬とは異なるさまざまな要素をクリアしなければいけません。特に、急勾配、緩みやすい馬場、密集した馬群などの理由により、日本調教馬にとって凱旋門賞制覇は厳しいという声が度々上がります。
しかし、武豊騎手は2018年、クリンチャーに騎乗して17着に敗れたレース後にこう語っています。
「ここに来ないと(凱旋門賞制覇の)可能性は0%ですからね。リスクはあってもトライすることで、今回の遠征で経験になりますし、今後につなげないといけないですね。今回の結果でさえ、勝利に近づいていると思います。」
誰よりも勝利を重ね、誰よりも敗北を味わっている武豊騎手だからこそ凱旋門賞制覇の難しさは痛感していると思いますが、そのコメントからは前向きに挑戦し続ける姿勢を感じます。
過去に出走してきた日本調教馬の経験は、確実にノウハウとして蓄積されています。いつか日本調教馬が凱旋門賞を制する日が来ることを、多くの競馬ファンが願っています。
JRAとブックメーカーのオッズの違い
日本では、日本調教馬が出走する場合のみ、JRAの管轄のもとで馬券が発売されます。一方、bet365やウィリアムヒルなどのブックメーカーでは、日本調教馬の出走に関わらず、全てのレース馬券を購入することができます。
実際に、2021年凱旋門賞の日本調教馬のオッズを確認してみましょう。
- クロノジェネシス
JRA(3.0倍)、bet365(12.0倍)、ウィリアムヒル(11.0倍) - ディープボンド
JRA(6.4倍)、bet365(29.0倍)、ウィリアムヒル(29.0倍)
このように、日本調教馬の馬券を買うのであれば、JRA経由よりブックメーカー経由の購入の方が断然オッズが高く購入できるのです。これは、JRAとブックメーカーでオッズを作成している基準が異なるためです。
逆にヨーロッパで人気が集まるヨーロッパ馬の馬券は、ブックメーカー経由よりJRA経由の方がオッズが高くなる場合もあります。これは、JRAではヨーロッパ馬の票数が集まりにくいためです。
このようにブックメーカーサイトのオッズと、JRAにオッズを見比べて馬券を購入するのも面白そうです。