ベルモントパーク競馬場の概要
ベルモントパーク競馬場はニューヨーク州郊外エルモントに位置する競馬場です。
1周約2400mのダートコースを持つ大規模な競馬場です。サラトガ競馬場・アケダクト競馬場と並んでNYRA(ニューヨーク競馬協会)が運営しており、ニューヨーク三大競馬場の1角を担っています。
ベルモントパーク競馬場がオープンしたのは1905年。1963年から1968年まで改修工事のために閉鎖していましたが、100年以上の歴史を誇る由緒ある競馬場の1つです。現在では春と秋に競馬開催が行われ、いくつものG1レースが行われています。
ベルモントパーク競馬場は、アメリカ三冠競走最終戦であるベルモントステークス(Belmont Stakes)が行われることで有名です。ベルモントステークスには、これまでカジノドライヴやラニ、マスターフェンサーといった日本調教馬も挑戦してきました。日本馬では、ラニの3着が最先着です。
ベルモントステークスの他にも、「メットマイル」と呼ばれるメトロポリタンハンディキャップや、ブリーダーズカップの重要な前哨戦であるジョッキークラブゴールドカップ(Jockey Club Gold Cup)等の大レースが行われます。ブリーダーズカップもこれまでに四度行われており、ニューヨーク市民にも親しまれている競馬場です。
20世紀初頭以来、多くのチャンピオンホースがこの競馬場での出走を経験しました。そのため、ベルモントパーク競馬場は「チャンピオントラック」とも呼ばれており、アメリカ競馬の歴史において重要な位置を占めています。
その他のアメリカ競馬場
コースの特徴
ベルモントパーク競馬場では全てのレースが左回りで行われます。
ベルモントパーク競馬場のメイントラックは1周約2400mのダートコース。アメリカの競馬場は1周1600m程度のトラックが多く、ベルモントパーク競馬場はアメリカにおいては最大規模の競馬場です。その巨大さから、アメリカの競馬ファンからは「ビックサンディ」と呼ばれ親しまれています。
メイントラックの直線距離はおよそ330mで、全周距離の割には長くはありません。決勝点が4コーナー寄りにあるのが理由です。そのため、直線1気の差し切り勝ちは難しい傾向にあります。
ベルモントパーク競馬場では2ターンのレースが少なく、コーナーもゆったりと設計されているため他場に比べて位置取り争いは激化しにくいです。よって後半勝負になる可能性が高く、スタミナを温存しつつ最終コーナーを3,4番手で追走するのが理想。
内が有利になりがちですが、中距離以上のレースにおいては枠順の不利はほとんどありません。むしろ、コーナーで抜け出しづらくなることから外枠の馬に有利になる傾向があります。しかし、ベルモントステークスについては1枠の馬が最多勝利を挙げているため注意が必要です。
ベルモントパーク競馬場のダートコースは他場に比べて砂が深いという特徴があります。スピード勝負になりがちなアメリカ競馬の中では珍しく、ベルモントパーク競馬場で行われるレースはスタミナが問われる展開になりやすいです。
特に約2400mで行われるベルモントステークスは、短・中距離が主流のアメリカでは長距離レースとして扱われます。2000m以上のレースを走ることが少ないアメリカの馬にとっては厳しい挑戦です。
ベルモントステークスには「テスト・オブ・チャンピオン」という異名があります。スピードで押し切ることができる中距離レースだけではなく、スタミナが必要なこのレースを勝ってこそ真のチャンピオンとして認められるということです。
ベルモントパーク競馬場の芝コースには、1周約2100mの外回りと1周約1900mの内回りの2つがあります。芝コースにおける最大の特徴は、1600m~1800mのレースで外枠が不利になることです。内回り、外回り問わず当該距離における外枠発走の馬の勝率は低くなります。
外回りよりも内回りのほうが水はけが良く、馬場が比較的乾きやすい傾向にあるため、雨の日の馬場適性を判断する際は注意しましょう。
現地の様子
例年6月の第1土曜日に行われるベルモントステークスは、三冠最終戦ということもあって多くの観客が訪れます。
ベルモントパーク競馬場の入場者数レコードは、2004年のベルモントステークスの日に記録された120,139人です。この年は、二冠馬スマーティージョーンズが三冠に挑戦していました。彼の三冠を見届けるために多くの観客が詰めかけましたが、結果は二着。観客たちは落胆しました。
ベルモントステークスの入場者数が増えるのは、人気のある馬が三冠に挑戦する年です。観客は三冠達成を期待して競馬場を訪れるため、一体となって1頭の馬を応援する空気が生まれます。カリフォルニアクロームが出走した2014年は、クルーミーと呼ばれるファンたちが、彼の勝負服をイメージした服装で競馬場を訪れました。
ベルモントステークスの開催日はドレスアップして競馬場を訪れる観客も多いです。ベルモントステークスを観戦するのであれば、スーツを着用すると現地の雰囲気を楽しめます。
ベルモントジュエルと呼ばれる、ベルモントステークスのオフィシャルカクテルを楽しむのもおすすめです。バーボンとレモネード、ザクロジュースを混ぜたもので、レモンが飾り付けられています。レシピは毎年少しずつ変わるので、その年ごとのカクテルを味わうのも楽しみの1つです。
その他、観客が多く訪れるのはメットマイルやジョッキークラブゴールドカップなどのビッグタイトル開催日。ブリーダーズカップ開催が行われる年にも全米から競馬ファンが訪れます。
ベルモントパーク競馬場は、2015年から収容人数の上限を9万人に設定しました。駐車場やトイレが足りなくなることによる混乱を避けるのが目的です。10万人以上のファンが競馬場を訪れることも少なくない日本の競馬場が、いかに大規模なのかが分かりますね。